コモレビ
dappled sunlight
短編官能小説「コモレビ —交わる熱—」
彼女の体温が、シーツに広がるように伝わってくる。
そのわずかな温度差が、まるで誘うように私の手を導き、指先が肌をかすめるたびに、くぐもった吐息が小さく震える。
膝を絡め合うと、きしむシーツの音が二人の距離をさらに近づけるようだった。
胸の鼓動が高まるほどに呼吸は浅くなり、甘い熱がゆっくりと背筋を這い上がるのを感じる。
彼女はわずかに身をよじり、肩越しにこちらを見る。
その瞳には期待と戸惑いが入り混じった光が宿り、私をさらに引き寄せる。
唇を重ねると同時に、お互いの吐息が混ざり合い、部屋の空気までがとろけそうなほどに濃厚になる。
浅く弾む息の合間に、かすかな声が微かに聞こえる。
「もっと…」と囁くようなその響きに、胸の奥がきゅっと収縮し、指先に力がこもった。
光と影が床を揺らすコモレビのなか、私たちはさらに深く溶け合う。動きを合わせるたびに腰と腰が密着し、熱を帯びた肌がかすれ合う。
か細い声が漏れては、柔らかな昼下がりの静寂を震わせた。
束の間の静寂のあと、彼女の指先が私の背を掴む。
そのまま微かに震えながら、何も言わずにただ熱を伝えてくる。
コモレビに包まれた空間で、二人はひとつの呼吸となり、互いの存在をしっかりと刻み込むように動きを重ねていく。
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