カラフル
colorful
短編官能小説「カラフル -鮮やかに溶け合う夜-」
夜のネオンが窓の外で弾けるたびに、カラフルな影が揺れた。
部屋の中は淡いピンクと青の光に染まり、彼らの肌を幻想的に照らしている。
弾むような笑い声と、はしゃぐ指先。
彼女は彼の肩を軽く押しながら、シーツに転がる。
ふたりはまるで、ポップアートのキャンバスに塗り重ねられた色彩みたいだった。
唇が触れ合うと、彼はまるで新しい色を試すように、ゆっくりと舌を絡めた。
どんな色を重ねれば、どんな感触になるのか。
試行錯誤しながら、カラーパレットを混ぜるみたいに、彼女の肌に口づけを落とす。
彼女の指が背中をなぞるたび、そこにひとつの色が広がっていくようだった。
淡いピンクから、深い赤へ。 彼の動きが重なるごとに、青が滲んで紫になり、黄色が弾けてオレンジに変わる。
ひとつ、またひとつ、色が重なる。
塗りかけのキャンバスのように、まだ完成しない。
けれど、その未完成の混ざり合いこそが、ふたりの今の鮮やかさだった。
最後の筆を置くように、彼が深く沈み込む。
呼吸が揃い、シーツの上に描かれた熱の跡。
乱れたシーツ、滲んだ色。
この夜は、どこまでもカラフルに、彼らを染め上げていく。
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