紅の星雲
Crimson Nebula
短編官能小説「紅の星雲 -灼熱の果てで-」
指が肌をなぞるたび、熱がじわりと広がっていく。
まるで、触れた場所から紅い炎が灯るように。
「…焦らしすぎじゃない?」
震える声で彼女が問いかける。
彼は微笑み、そっと囁いた。
「まだ、燃え尽きるには早いよ」
吐息を絡めるたび、ゆっくりと熱が増していく。
触れて、離れ、また触れる。
焦らされるたび、彼女の中の炎は大きくなっていく。
そして—限界の瞬間。
「…もう、耐えられない…!」
言葉がこぼれた瞬間、二人の距離が一気にゼロになる。
溶け合うように、求めるように。
紅の星雲が爆発するように、身体も意識も燃え上がる。
果ての先で見たものは、紅く染まる世界。
もう、二人を隔てるものは何もなかった。
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